スープな暮らし:::コラム:::

毎日、暑いですね。
そんなときでも、毎日のごはんに味噌汁は欠かせない、というおうちも多いのではないでしょうか。

先月開かれたnenneのスープの会。


集まったお母さんたちに、お味噌汁作っていますか?と聞いたら、半々ぐらいという感じ。
ちゃんと煮干しでだしをとっている人、顆粒だしです、という人。にんにくのすりおろしを入れたらヒットだった!という人。いろいろです。

お子さんから「ぼく、うちのよりnenneの味噌汁がいい!」と言われちゃいました、というKさん。
ちょっとショックですね。

おうちで作るのはどんな味噌汁ですか?と聞くと、
キャベツ、大根、にんじん、たまねぎ、長ねぎ…とにかく野菜がたっぷり入るのが特長だそう。
ワンパターンだし、夫や子供は煮た野菜があまり好きではないから喜ばないのだろうと、Kさんは思っています。

いろいろな野菜が入っている味噌汁の場合、
たとえば1種類でも嫌いなものが入っていると、子供のテンションは下がってしまいます。

反対に、野菜1種類だけだったら、その野菜が好きであれば案外食べるかもしれません。
毎日5種類の野菜を入れているとしたら、ためしに今日はキャベツだけ、なすだけ、たまねぎだけ、
じゃがいもだけ、ほうれんそうだけ…
そんなふうに、一日1種類の野菜を5日間日替わりで出してみてはどうでしょうか。
作る方も楽になります。

野菜一種類だけだとちょっとものたりないな…と思うなら、油揚げやベーコン、すりごまなんかを入れると、ぐっとおいしくなります。


この日お出ししたスープは、トマトの冷や汁。
使う野菜はトマトとバジルだけ。今はやりのサバ缶を使って、だしも火も使わずに作れる簡単味噌汁です。
ぐっと冷やしてごはんにかけてサラサラと。
暑いときでもごまとバジルの香りに食欲が進みます。

「トマトとバジルだと、うちの子はたぶん食べないんですけど、他の野菜でできますか?」そんな質問をいただきました。
大丈夫です。きゅうりや、なすでもおいしくできます。バジルのかわりに大葉を使うといいでしょう。
このときは薄切りにしたきゅうりやナスに軽く塩を振ってしばらく置いて、
野菜から水が出て来たら軽く絞って使います。味噌の量で味を調節してくださいね。


さて、具だくさんの味噌汁のKさんのお話にちょっと戻ります。私は、おいしいということ以上に、大切なことが食にはあると思っています。

それは家族の健康や、心のよりどころです。
毎日のごはんづくりはお母さんにとって大仕事。
そんな中、少しでも家族に野菜を食べさせたい!という気持ちで作る味噌汁です。
それを口にすることで、家族は健康をキープし、
今日も家にごはんがあるという安心感を持てているともいえるのです。

喜ばれない食事を作り続けるのはなかなか辛いもの。ときには心が折れそうになります。
でも、お子さんが大人になったとき、食べたいと思い出すのはきっと、nenneの味噌汁ではなくお母さんの味噌汁です。
そのことに、もっと自信を持ってもいいのではないでしょうか。

Kさんのご実家の味噌汁は、やっぱり野菜たくさんの味噌汁だったそうです。
Kさんにとっての「おうちの味」なんですね。

たとえ今子供があまり食べなくても、家の味に胸を張りたいものです。
そう信じられる気持ちを持つことは、
おいしい料理を作れるようになるよりも、ずっと大事なことかもしれません。

コラム:有賀 薫/撮影:土居麻紀子

レシピ


 
 
[サバ缶入りトマトとバジルの冷や汁]
 
 

●材料(2人分)
・トマト 300g(中2個)
・バジル 1~2枝(葉8-10枚ほど)
・さば缶 1缶(200gほどのもの)
・味 噌 大さじ1~2(味噌の塩分による)
・白ごま 大さじ1
・ごはん 適宜

 
 
●つくりかた

1)
トマトはへたを取り、1.5cmのさいの目に切る。
バジルは水にしばらく漬け、
ていねいに水気をふきとる。
ごまは半ずりにする。

*すり鉢がないときは、キッチンペーパーに包み、
古雑誌などの上に置いて、
ボウルや平らなマグカップの底を押し付けて
つぶすと半ずり状態になる)

 
2)
ボウルにすった白ごまと味噌を混ぜ合わせ、
水300mLでのばす。
そこへトマトと、水気を切ったサバ缶、
ちぎったバジルの葉、枝を入れる。
(バジルは飾りを少し残しておく)

※サバの皮がはがれやすいです。
汁が汚れてしまうので、
ほぐさずにそのまま漬けておき、
盛り付けのときにバラします。

 
3)
そのまま冷蔵庫へ入れて冷やし、
味をなじませる。
器に盛りバジルを飾り、
ごはんや麺にかけて食べる。


プロフィール


有賀 薫  Twitternote

1964年東京生まれ。スープ作家。
6年間約2300日以上におよぶ朝のスープ作り『スープ・カレンダー』を日々更新。
スープのある未来のキッチンを思い描きつつ、シンプルでおいしいレシピや、スープにまつわる情報を発信。
著書に『365日のめざましスープ』(SBクリエイティブ)、『帰り遅いけどこんなスープなら作れそう』(文響社)